今年1年の診療も無事に終わることができました。

これもご来院いただいている患者さまやスタッフ、取引先関係者などの皆様のおかげです。

今年を振り返ると、 年始にマイクロスコープを1台増設し、
歯科医師の診療時には、ほぼ使いたいときに使える状況にすることができました。
勤務医の先生方にもできるだけ使用してもらい、
今後も、診療方針の一つである「精密診療」を、
誰が診ても、どんな時でも提供できるようにしていきたいものです。

歯科衛生士にも、使用してみるようにすすめていますが、
この部分はまだまだハードルが高いようで、来年以降の課題ですね。

 

インプラント治療は、一昔前のインプラント目的で来院、治療を行うというよりは、
一般的な診療の流れの一つとして行うことが多くなり、
ピーク時よりケースは減りましたが、一つ一つを大切に慎重に行いました。

その一方で、業界全体としての課題ですが、インプラント周囲炎などの長期経過後のトラブルは 一定の割合であり、
対応に苦慮していることもあります。

術者サイドでできることとして、治療計画、インプラント体の選択、手術やうわものの術式、メンテナンスなど正しく行い、
患者さまには術後のケア、メンテナンスについての啓もうに力を入れています。
ただし、セルフケアを行う、来院するという行動自体は、
患者さまに委ねられるので、 ここはなんともむずかしいところです。

その点において、インプラント目的の単発の患者さんは、メンテナンスの来院が途絶えることも多いのですが、
もともと継続的に来院されている方のインプラントは、あくまで生涯的な歯科治療のひとつであり、
メンテナンスもその一つとして考えていただける方が多く、きちんとフォローができています。

ここでも歯科衛生士のかかわりが大きいものと考えています。

 

矯正治療は、私自身は、矯正専門医ではないので、
難しいケースには手をつけず、自分でできる範囲で行い、その範囲を広げるように日々努めています。
患者さんのご希望も多く、マウスピース矯正も増えています。
マウスピース矯正に適応のケースであれば、来年も積極的に取り組んでいきたいです。

 

昨年はゼロだったのですが、 今年は年始から年末までスタッフにおめでたいことが続き、
うれしい悲鳴もありました。
女性スタッフの多い歯科医院という職場であることは今後も続くので、
それぞれのイベントを越え、環境の変化とのバランスを取りながら、
長く働ける職場づくりを一層進めなくてはならないと感じています。

来月で開院12年ということになります。
そうこうしているうちに、今年は10年勤務のスタッフが4名となりましたし、
来年も10年選手が増える予定です。
自分で言うのはなんですが、医院のよさ、スタッフの雰囲気のよさを物語っていることの表れです。

歯科医院においては、内装や設備はどうしても経年変化があります。
途中、内装リニューアルもしましたし、新しい設備を意識して購入するようにしていますが、
ものはどうしても買った時が一番良いときです。
でも古くなればまた買えば済むことでもあります。

スタッフに関しては、新しいからよいというものでもなく、
長く勤めてもらうことが、経験値や患者さまとのかかわりの上でも医院力の向上につながります。
即戦力のスタッフに入れ替えて済む話でもありません。
長く勤めるスタッフがいることで、長く通っていただく患者さまも増え、
患者さまといい関係を築ける成熟した歯科医院になってきていると感じています。

ただ、長く関りをもつ患者さまやスタッフたちに 飽きられないよう、
現状満足とならないよう 新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいものです。

 

4月には新卒の歯科衛生士が2名入社しました。
歯科業界における新卒歯科衛生士の求人倍率は20倍とも言われ、
2名入社してくれるというのは大変ありがたいことなのですが、
これも先輩衛生士たちがよい雰囲気を作ってくれているからこそです。

一方で、先輩歯科衛生士たちを中心に教育、サポートをしてくれたのですが、
私自身も全体をみる立場として、教育の難しさを感じた1年でもありました。
教育の仕方も自分が教育を受けたころとは違いますし、
私や長いスタッフになると、これから仲間になるようなスタッフとは世代間のズレも出てくることになります。
そうしたことも考えながら人を育てていかないといけないようです。

よりよい歯科医院づくり、職場づくりとは、治療や設備、労働条件だけではありません。
歯科医療は人と人とが接する仕事である以上、人が基本です。
良い人とめぐり合う、ご縁をもつ、育てていくことが大切と年々感じています。

成熟した歯科医院としての若干の気持ちの余裕、余力はできてきたからこそ、
時間をかけて人を育てるということにも力を入れていかないといけないと考えています。
人を育てるということは、回りまわって雇用を守り、組織を育て、社会に貢献をするということにつながります。

余談ですが、私は学生時代は空手をやっていました。
どちらかというと根性論や体育会系的なノリの方がしみついていたのですが、
自分が年をとったのか、女性の多い職場でうまくやる感覚ができてきたのか
うまく言えないのですが、若い時よりだいぶ柔らかくなってきていると思います。

結局のところ、1年を振り返った時に、 治療そのものより、人のことを考える時間の方が長かったということですかね。

ちなみに私の仕事ぶりは、監督兼選手兼裏方スタッフといった感じで、
この1年も月曜から土曜まで基本的に診療をしていましたし、
院長としての人事のことや手続き関係など事務的なことから
買い出しなどの雑用までなんでもしてました。
性格的に自分で目の届く範囲で仕事をしたいのと自分でやった方が早いし確実だと思ってるからなのですが、
ここらへんは多少人に任せることも覚えないといけない年ごろになってきましたかね。

 

小規模な歯科医院で治療中心で無駄なくやりたいことだけをやっている歯科医院をうらやましく思うこともありますし、
大規模でマニュアル化、システマティックにやっている歯科医院を見習いたいと思うこともあります。
(大規模化は目指しませんが、遠い将来には小規模化を選択するかもしれません。)

ないものねだりをしてもいけませんので、自分らしく、身の丈と能力に合った歯科医院づくりをして、
そこに関わってくれるスタッフや患者さまを大事にしていくことに尽きるのかと考えています。

 

平成の30年間という一つの時代も間もなく終わろうとしています。

平成2年に歯学部に入り、卒直後の「勉強の10年」
歯科医師らしくなり、勤務医としてさらに勉強し、治療し、開業した「実践の10年」
開業医として、診療だけでなく、経営のこと、人のことを考え駆け抜けてきた「成長の10年」
平成最後の年末年始のお休みは、歯科と関わった約30年の歩みを振り返り、
今の立ち位置から、次の「成熟の10年」を考え、 成熟の後、その先に落下しないところまで考え(笑)、
変わりゆく新しい時代に、何ができるか、何をするか考える時間としたいです。

皆様、今年も1年ありがとうございました!