矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用につきまして

① 矯正装置による不快感、歯の痛み、口内炎等がみられます。毎診療後、数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。治療開始時にはこれらの症状に慣れる期間が長くなる場合があります。
② 歯の動き方には個人差があります。このため予定された治療期間が延長や、治療内容を変更する可能性があります。
③ 矯正装置の使用状況、顎間ゴム(日常使用する取り換えゴム)の使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 矯正治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病および歯の着色などのリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあり、歯根が露出することがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。歯が動かない場合、治療内容を変更することがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経(歯髄)が障害を受けて壊死することがあり、神経(歯髄)の治療を行う場合があります。
⑧ 矯正装置装着により金属等のアレルギー症状が出ることがあり、矯正装置の変更を行う場合があります。
⑨ 矯正治療中に「顎関節に音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節の症状が生じる場合があります。
⑩ 歯の形を修正(歯の削合や研磨)したり、咬み合わせの微調整(歯の噛む面の削合や研磨)を行ったりする可能性があります。
⑪ 矯正装置が外れた場合に矯正装置を誤飲する可能性があります。
⑫ 矯正装置を外す時に、歯の表面(エナメル質)に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)のが破損する可能性があります。
⑬ 矯正装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑭ 矯正装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などを再治療する可能性があります。
⑮ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑯ 治療後に親知らずが生えて、歯並びに凸凹が生じる可能性があります。また加齢や歯周病等により歯を支えている骨(歯槽骨)がやせると歯の移動が生じ、かみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
⑰ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
⑱ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。

マウスピース型(カスタマイズ)矯正(歯科)装置の一般的なリスクや副作用につきまして

①歯の移動量が少ない症例に限られ、抜歯を行う矯正治療には適しません。
②長時間装着することが必要であり、装置の使用状況により歯の移動が効果的に得られない場合があります。
③成長発育中の小児期の治療には適しません。
④骨格的要因による不正咬合には適しません。
⑤精密な歯に移動は困難な場合があります。
⑥装置装着により歯の痛みを伴います。
⑦咬む面を覆うため装着中は咬みにくくなります。
⑧効果的な歯の移動が得られない場合は、代替の方法に変更する場合があります。

舌側矯正に伴う一般的なリスクや副作用につきまして

① 歯の舌側(裏側)に装置を付けるため舌の違和感や痛みおよび口内炎が生じる場合があります。また舌の運動が制限されるため発音しづらい場合があります。
②歯の舌側(裏側)に装置を付けるため歯面の清掃がしにくくなります。このため丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
③舌側矯正では治療後の歯並びやかみ合わせを予測した模型により、精密な矯正装置を作成します。このため装置作成の期間がおよそ1か月半程度かかるため、装置の装着および治療開始が遅くなります。
④1回の治療に要する時間や治療期間が唇側矯正治療に比較し、長くなる場合があります。

歯科矯正用アンカースクリューの一般的なリスクや副作用につきまして

①植立時の出血および疼痛:歯科矯正用アンカースクリューの植立は局所麻酔を伴う外科処置および観血処置になり、植立により疼痛や軽度な出血が伴います。
②歯科矯正用アンカースクリューの破損:皮質骨が厚く、また硬度が高い場合には、植立時に歯科矯正用アンカースクリューが破損することがあります。
③植立部位:歯槽部における歯根間の植立においては歯根への近接や接触および損傷する場合があります。口蓋正中部はまれに歯科矯正用アンカースクリューの先端が鼻腔に近接し、違和感や疼痛が生じる場合があります。
④歯科矯正用アンカースクリューの動揺:矯正用アンカースクリューは動揺する場合があります。この場合、歯科矯正用アンカースクリューを撤去し、位置を変更し再度植立する場合があります。
⑤粘膜の炎症:歯科矯正用アンカースクリュー周囲に粘膜の炎症が生じる場合があります。また接触する粘膜に口内炎が生じることがあります。